それは生き物を連想させた。動きが不自然だ。しかしそう見えただけかも知れない。あんなのを目撃したから。
割り箸で渦をほぐしてみる。どうやら春雨には種類があるようだ。普通に見かける白いのばかり見えるがさっきのは違っていた。真ん中に芯があった。そいつはどこに紛れた。
箸を動かす度にネチャついた音が聞こえる。大した量じゃないのに、もうどれだかもうわからない。しょうがないから掴めそうなのを適当に摘まんで持ち上げた。輪になって伸びて、しかし端っこがなかなか出てこない。今度は落とさぬようにぐっと引っ張る。やっと出てきた。頭、いや尻か。目を近づけるが、ケチャップにまみれている。一緒に入っていた紙ナプキンで拭ってみる。しかしこいつはごく普通の春雨にしか見えない。
思い出した。そうか、春雨にも黒っぽいのは混じっているものだ。きっと種類の違うこんにゃく系が混じっていたのだろう。
そんなところだな。私はつい笑いを浮かべた。さっきのシーンが気持ち悪かっただけなのだ。どうと言うことがなくなるまでは麺類は駄目だな。
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