邪気は誰にでもある。それが異常か普通に収まるかの違いしかない。しかしそれなら、異常はどこから来るのか。
世の中には犯罪に走る奴とそうでない奴が居る。強請りたかりができる奴とそうでない奴が居る。異常性欲者とそうでないのが居る。ストーカーになる奴とそうでないのが居る。早く言えばそんなことと同じだろうか。
「で、ブログを止めて後はどうするんだ」
「なにも…」
「なにもしない?」
「そう」
「今までやってきたことがもったいないじゃないか」
アッハッハと彼は笑う。そうでもないと彼は言う。
「ブログが大事なんじゃなくて、それを続けるために絵を描き続けて、俺みたいなヘボでも多少前進があった。それでいいんだよ」
「前進があってどうするんだ。やっぱり公開しなきゃつまらんだろ」
「そのうちまたね。適当にその気になったら始めるさ」
しばらく休むのも悪くない。今はとにかくシャバシャバした気分だと彼は言う。しかし、と私は思う。彼にわざわざシャバシャバと言わせるのだから、それはそれで鬱陶しかったに違ない。
「お前の感じる通り、この人は邪気がきっと凄いんだ。俺はスピリチュアルなことは言いたくないが、邪気からは遠ざかった方が良い。どこかで切らないとろくなことがない」
「それはそうだろうけど、だからって、一度切ってもどうせバレるぜ。ずっと止めちまうんならともかく、絵を見りゃ分かるんだろうから」
「まあ、その時は多少遊ぶさ」
どんな考えがあるか知れないが、彼はハッハッハと笑った。