2021年10月2日土曜日

春雨バーガー 5

雑草に囲まれた空き地と言えば空き地の一角に、泥水の溜まった丸い花壇を囲むようにして建っているコの字型の古い木造アパートに私は戻った。アパートと言ってもそもそもここはアパートではない。昔は何かの会社だったとかの使える部屋だけを多少改造してあるだけで、私はむしろその雰囲気が気に入った。平屋の建物で、アパートと言えば二階建てしか知らない私には新鮮でもあった。

部屋は六畳と三畳の二間しかない。一応流しがあるので、元は休憩室だったのだろうか。 小さなドアを開けると三畳間、奥に六畳間に押入れとアルミサッシの窓がある。日頃は三畳間にちゃぶ台を置いて食事をし、奥に机を置いて仕事をしている。

仕事は大したものではない。いくつかの書類に目を通し、不整合な部分を拾い出す仕事だ。終わったら納品に出かけても良いし郵送か宅配でも良かった。大したことはないのだが、時折は不鮮明な文章や図面などがある。そんな時は神経を使う。

他の住人は、今の所見ない。気楽で良いのだが、心細くもある。しかし隣の心配をしないで良い方が私には良かった。格安だった。

多少面倒くさいのはトイレだった。古いままなので浄化槽式の和式。これが花壇の向こう側にある。今は良いが、寒くなってくると夜中は面倒だろうなと思った。トイレと私の部屋以外は閉鎖されているようだった。

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