2022年3月1日火曜日

粘着質--2

「それならいっそ遊んでやったらどうだ」
半ば冗談だったが、半分は面白く感じていた。
「遊ぶってどうする」
「だから、相手は粘着しているんだろ、だったら何か一つ餌を与えて仕事をさせるんだ」
「そんなことしてどうするんだ」
「だから、どうせ粘着されているのだから、他のブログを立てても見つけてねちゃついてくるぜ。絵柄なんかでどうしたって判るだろ。それならいっそ知らん顔して餌だけやるのさ。その度にあっちは過剰に反応する。日常事なんかきっとそっちのけさ」
「そうかな」
と言って彼は少し考えていた。

「こっちは徹底して一般論を書く。飽くまで向こうには全然関心はない。相手はこっちを的にして反応してくる。それで段々粘着を越えてくる。それで狂わせるのさ」
「馬鹿を観察するのは面白い?」
「そうさ、そのくらいの余裕は持つのさ。飽くまでこっちは一般論、何があっても知らん顔。あっちは日々カッカしてくる。ドンドン怒らせるんだよ。どこかで一線を越えたら面白いぜ。相手がそれ程の馬鹿でないなら途中で気づいてあっちから距離を取る」
しばらく考えて彼はボソッと呟いた。
「面白いかも知れんが、俺はそいつらとは違う。正常人間さ。そんなエネルギーはないよ」

面白そうだったので、ちょっと私は残念だった。しかし安心もした。彼がそんなのを相手にする性格でないことを。
「じゃあ、ブログはどうするんだ。相手はお前を批判しているんだろ、少なくとも自分の周りにはわかる程度に」
「適当に放っとくさ、思い出したら書いても良い。どうせアクセスなんかに興味はないし。周りだって馬鹿でもなければ気味悪くなって遠ざかるだろ」
「いいのかなそれで、やっぱり変だと思うぜ。そんなのが出てくるたびに面倒なんて。それにそんな奴の周りにはそんなのが集まるんだ。現に二人居るんだろ」
「元々それがネットの世界なんだよ。いや、ネットじゃなくてそれが人の世の中なんだ。普段は見えないだけで、一皮剥いたら怪物はどこにでもいるので」
「じゃあお前も怪物になれよ」
「俺は一皮剥いても真人間、ないよりましの何とかさ」

私たちはふたりしてあっはっはと笑った。

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