2021年9月29日水曜日

春雨バーガー 3

袋からもう一度バーガーを取り出して、かじった部分をしばし眺めた。噛みちぎった春雨の一部が伸びて垂れさがっていたはずが、なかった。縮んでしまったのか。

不思議にも思いつつ突っ立っていると、女性が気付いてこちらを振り向いた。手には寄生虫と思しきが絡んだままの器具を持ったままだ。横に二人ほど居たいずれも男性が、女性に連られる様にさっと私の方を見た。

慌てて私は視線を外した。まずい、もしかして秘密のようなものを見たかも知れない。バーガーを咄嗟に袋にしまって、そのまま急ぎ足で自宅に向かって歩いた。そうだその辺の自販機でドリンクを出して口を漱ごう。そう思ったが、記憶にある場所に自販機がない。どうして、ここにあったはずなのに…。

しょうがない。歩を速めて緩い坂道を上った。自宅は畑やありきたりな民家が並ぶ殺風景な生活道路をしばらく上ったところにあるこれまた古いアパートだ。まだ越してきてあまり経たない。

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