2022年9月7日水曜日

春雨バーガー 12

例えば鯖には、ごく普通に寄生虫があって、例外はない。探さねば見えないが普通に鯖缶にも入っているらしい。私は塩焼きなら食べるが、それ以外は苦手だ。家族は普通に酢で締めて食べるが私は食べなかった。元々生が苦手だが、酢で締めないと虫が居るからと誰かに聞いたことがあったからだ。酢につけても虫は死なない奴も居るのじゃないか。

こんなだから、死んでさえいればあまり虫を気にしないのかも知れない。しかし私は嫌だ。辛うじて焼き魚が食べられるだけだ。それにこんなデカイ虫が居るのか。それは普通に見かける春雨より太い。煮られて茶色っぽく変色しているが、明らかに虫だ。箸で摘まみ上げるまでもない。

一気に気分が悪くなった。戻しかけたがどうにか抑えた。素早く金を払って出ようとした。

「あら、どうしたの」

女将が不審そうに尋ねたが、急用を思い出したと言ってそのまま店を出た。ちょっと行ったところで路地を見つけて隠れた。沿うように流れている排水路に口に残っている物を吐き出した。

それにしても、あちこち虫ばかりだ。いったいなんだと言うのか。

呟きながら更に行って自販機を見つけ、苦そうなお茶を出してうがいをした。お茶が良いような気がした。

衣がないから分かったのだ。フライだったらわからない。うっかり食堂にも入れない。

 

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