2022年4月10日日曜日

トイレ--2

戸建ての住宅地は、外観は多少違っても基本的には同じ形で建っていることが多い。キッチンやトイレの位置などは並びで大体同じだ。つまりこちらのトイレは隣の庭に面している。用を足しているときに隣人が庭仕事などをしているとちょっとやりにくい。事実そうなることもあるのだが、普通ならあまり気にする程ではない。しかしある時から彼女は気になり始めた。その頻度が徐々に高くなったのだ。

爺さんはいつの頃からかずっと家に居るようになった。そして何故かしょっちゅう庭に出ている。時にはトイレの窓のすぐ近くにずっと居ることもある。だが庭にそれ程の手入れを要するものが植わっているように見えない。

娘がそれとなく言うと、実は母もそれに気づいていた。なるべくなら爺さんが庭に居る気配がないときを見計らってトイレを使う妙な具合になった。

幸いトイレは一階と二階の両方にある。以後はずっと二階のトイレを使うようになった。しかし真下に居られてはそれでもやりにくい。水を流すときはしょうがないが、なるべく音を立てないでやる。父にもそれを言うのだが、それ程気にしていないようだった。父は出勤前に使い、後は夜まで家に居ない。気にしているのは仕事のことばかりであまり余計なことは考えたくないようだった。

母娘は対策を考え始めた。

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