2022年2月3日木曜日

電話

電話の向こうで叔母があれこれ言っている。はっきりと聞こえない。いつものように何やら怒っている。この人はずっと昔からそうだ。普通の人なら引っかからないようなことでも直ぐに機嫌を悪くしてなにやらと言う。

子供の時から嫌いだ。大嫌いだ。なにかあって消えてくれたらいいのにといつも思っていた。今も思っている。言葉使いに棘があり、多分誰に対してもそうなのだ。皆この人を避けている。

そんなのが何故距離も離れている自分に電話をしてくるのか。どうやらなにやら揉め事があったので一度来いと言っているようだ。

馬鹿げている。何で行かなきゃならない。こっちもそれ程気の長い方じゃない。行くと必ずトラブルになる。そもそもそんなこと、自分に関係ない。

これまでにも何度かこんな電話がかかってきた。その度に適当に不機嫌な声を聞いて受け流す。いったい、何故自分がこんな人を相手にしなければならないのか、段々腹が立ってくる。

当家は昔苦しくて、自分が物事もわからぬほどの幼いころに多少の金を借りたようだ。それ以来当家に態度がデカイ。その多くを、成人してからの自分に出すようになった。父も母も亡くなっているが、ふたりには言わなかった。以後自分に対して昔の恩を言い出して、それがずっと続いている。

ぼんやり考える。縁切寺とか神社とかは、こんな時の願い事も聞いてくれるのだろうか。あの人はもう死ぬまで多分こんな感じだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿